カテゴリー別アーカイブ: 季節のお料理

『 鬼は外 、 福は内 !』

いよいよ節分でございます。kira01.gifkira01.gif

新年を迎え、早くも1ヶ月が過ぎました。

当店も、有難いことに、年が明けてからは「新年会」のご予約を沢山頂き、バタバタと忙しく走り回っている間に、気が付けば1ヶ月過ぎていたという感じです。kao16.gifbikkuri04.gif

したがって、このブログも随分と久しぶりのアップです。kira02.gif

ご挨拶が随分と遅くなってしまいましたが、
『昨年度はご贔屓頂き、誠にありがとうございました。どうか本年も宜しく御願い申し上げます。』kira01.gifkira01.gifkira01.gif

さて、今回は『節分』にちなんだ「前菜八寸」の写真を紹介させていただきました。
「豆まき」をイメージしていただけるように、一口大のお料理を「枡」に盛り込んでいます。kao-a02.gif

皆様ご存知のように「節分」とは本来、「季節を分ける」つまり季節が移り変わる節日をいい、「立春」「立夏」「立秋」「立冬」それぞれの前日を指すものですが、その中でも「立春」は一年の始まりとして考えられ特に尊ばれたために、いつしか「節分」と言えば「春の節分」のみを指すようになっていったそうです。enpitu02.gif

昔は「立春」を一年の始まりと考えられていたために、その前日の「節分」は今の「大晦日」にあたります。平安時代の宮中では陰陽師らによって旧年の厄や災難を祓い清める「追儺(ついな)」という行事が行なわれ、これが室町時代以降は「豆」を撒いて悪鬼を追い出す行事に発展して民間にも定着していったそうです。enpitu02.gif

写真のお料理は、お客様にとっても、当店にとっても、『厄や災難を追い払い、たくさんの「福」がおとずれ枡(ます)ように・・・♪』と、願いを込めた演出です。heart02.gif

どうか中のお料理はバラ撒かずに、ご賞味くださいますよう御願い致します。 笑♪♪kao07.gifkira01.gif

『鬼は外!福は内 ♪♪』hana-ani01.gif

 

 

 

 

柿の色。

今回は御水物(デザート)のご紹介です。

今風に言えば「スイーツ」ってことになるんでしょうか?cake.gif
ちょっと違うような気もしますが・・・(笑)。kao07.gifkira02.gif

写真では何が盛ってあるのか分かりづらいので、順を追って説明させていただきます。

一番上に見えてますのは、「柚子のソルベ」と 「ミント」です。bikkuri02.gif
手前左の白いのは「梨の蜜煮(コンポート)」です。今は「ラ・フランス」を使っていますが、この写真の時は「ほうすい」です。bikkuri01.gif
そして、その右は「葡萄」です。これもその時々で色んな品種を使っていますので、この写真の時は何を使ったのか覚えてません。(申し訳ありません。)bikkuri03.gifkao-a14.gif

次に一番奥のオレンジ色と白の品、これがこのデザートのメインのつもりなのですが、「柿の蜜煮(コンポート)」に「檸檬の淡雪寒(レモンムース)」を流し入れてあります。bikkuri04.gifbikkuri04.gifkira01.gif
目を凝らして写真をよ~く見ていただくと白い部分がかすかに見えますが、それがレモンムースの部分です。kao06.gifte03.gifkira01.gif

すべての果物にレモンの風味を付け、柚子ソルベと共に柑橘系の香りでまとめてみました。

柿は、コアントロー(cointreau)で香りを効かせ、レモンと共に炊いています。もちろん、柿の風味をそこなわない程度です。

口に入れた瞬間はレモンムースの味と香りが口に広がり、洋風な印象を受けますが、その後すぐに柿の風味が追いかけて来て、「和」のテイストをかもちだしてくれます。
これが柿の力です。kao-a17.gifheart05.gif
いうなれば、リキュールを使ったコンポート、全くの洋風に仕上がってもよさそうなものですが、古来から「柿の味」に慣れ親しんでいる私たち日本人には「柿」に「和」のテイストを感じるんでしょうね。不思議なものです。 kao23.gifkira02.gif

柿は日本原産の果物と言われています。
今は海外でも「KAKI」として世界中で愛されているそうです。

ちょっと調べてみたところ、柿の原産については いくつかの説があるそうです。enpitu02.gif

柿は日本原産で古来からあったという説や、日本古来からあった柿は氷河期に絶滅してしまい、その氷河期の後に中国から渡来したという説です。yuki.gif

とはいえ、縄文、弥生時代の遺跡からも種が出土し、時代が新しくなるにつれてその量も増えているそうですので、日本人はかなりの昔から柿が好きだったようです。kao-a02.gif

「柿は医者いらず」とか「柿が赤くなると医者が青くなる」なんて言葉があるくらいですから、健康食や薬としても重宝されてきたのでしょう。kira01.gif
また、柿渋は・・・・・・などと話を続けるときりが無いのでやめておきますが、それだけ私たちに馴染みの深い果物だということですね♪heart08.gif

その柿のデザートを柿色の器に盛りました♪kao-a02.gifte03.gif

写真では実際よりも赤みがかってしまい、実際の色合いが紹介できないのが残念ですが、「柿釉」という独特の釉薬をほどこされた器です。なんとも表現できない温かみのある素敵な色合いです。kira01.gif
嘉峰窯「伊藤嘉峰」の作です。kira02.gifkira02.gif

伊勢海老の具足煮と菊花蕪の焚き合わせ。

先ほどの伊勢海老を使ったお料理です。kira01.gifkira01.gif

伊勢海老の頭と殻は具足煮とし、身の方は具足煮の煮汁を加減して吉野煮にしたものを盛り合わせました。
小蕪も伊勢海老の煮汁と共に煮て伊勢海老の味を含ませ、中に雲丹を射込んで蒸しあげ、共地餡掛けといたしました。

針柚子と山葵をあしらい、菊の花をちらし、青味には絹さやを添えてございます。kao06.gifhana-ani01.gif

器は丸田明彦作の志野葉皿です。 

(いつも、ついつい長文になってしまいますので、今回は短めの文章で・・・。kao07.gif笑♪)

 

月と鼈(すっぽん)♪

御吸物。
丸仕立て、鼈(すっぽん)の百合根饅頭です。

「丸仕立て」の「丸」というのは鼈(すっぽん)のことです。鼈はその甲羅が丸いことから「丸」と呼ばれています。

 「月とすっぽん」という表現がありますが、これは同じ「丸」でも「美しい月」と「すっぽん」では似ても似つかぬものだと言う例えです。
江戸時代後期の随筆「嬉遊笑覧」に「すっぽんを丸と異名をつけて呼ぶ。漢名にも団魚と言ふと等し。月は丸きものなれど、丸と呼ぶすっぽんとはいたく異なるるなり。」という説明があるそうです。 te03.gifkira01.gif

話が少しそれましたが、「丸仕立て」とはつまり、鼈で仕立てた御汁ということです。
寒い時期ならではのお料理です。酒と生姜をきかせた丸の御吸物は身体の芯からホクホクと温まるような気がします。hana-ani01.gifkira01.gif

写真のお料理は、その「丸」(鼈)を百合根と餅粉を合わせたもので「真ん丸」のお饅頭に包みました。モチモチとした食感を出しつつも、百合根本来の持ち味を損なわないように気を使います。
百合根の持つ甘味、そして鼈(すっぽん)が持つ独特の甘味、そこに酒の香りがさらにそれを豊かにし、生姜の香りとぴりっとした辛味が味を引き締め、葱がその風味をさらに増してくれます。kao-a08.gif

真っ白い百合根饅頭は、これから到来する冬を意識していただけるよう、雪をイメージしています。御汁には白葱を霰(あられ)に見立てた霰葱を散りばめました。kira02.gifkira02.gif
今回は目出度いお席ということで、青味には鶯菜(うぐいす菜)を。

 

当店で鼈(すっぽん)をお出しするのは久しぶりです。
たしか、ここ三年ほどは鼈(すっぽん)を使わなかったような気がします。

しばらく使っていなかったから・・・ということもありますが、最近テレビを見ていますと女性の間で鼈(すっぽん)の持つコラーゲンが美肌効果として大人気だということもあり、当店でもこの冬は久々の登場というわけです。kao09.gifbikkuri03.gif

 

スッポン料理でさらに美しく!!kira01.gif
お月様のように綺麗に輝く美肌をゲットしていただけたら・・・と思います♪♪(笑)rose03.gif

 

 

 

久しぶりのブログです。

前菜八寸です。

昨夜は、褒章を受章されたお客様の祝賀会に当店をご利用下さいました。kira01.gifkira01.gif
とてもおめでたい宴席ですので、大好きな赤楽の小鯛蓋物などにお料理を盛り込み、おめでたい演出にしました。hana-ani01.gif

どのお客様も様々な席をもうける際に、「うを友」で!と思って下さるのは本当に嬉しいことです。

そのお気持ちに応える為にも、微力ながらも精一杯努力し、お客様に「 次も 「うを友」 で!」と思っていただけるように頑張ります。up.gif

 
小鯛蓋物は楽焼きの名工「島 荷平」さんの作です。なんとも言えぬ上品な愛くるしさです。kira01.gifkira01.gif
 

揚げ物。

今回は揚げ物を紹介させていただきます。

鮑(あわび)の香り揚げです。

鮑は夏が旬とされていますが、小ぶりながらも上質のものを入荷しましたので、柔らかく煮た後に香り揚げにいたしました。

日頃なら鮑のように高価なものは「生」で使うか、「柔らか煮」にするか・・・で、揚げ物に使うことは滅多に無いのですが、常からご贔屓いただいているお客様のリクエストでこのように調理しました。

「鮑」はやはり大昔から高価なものだったようですが、その美味しさだけではなく、縁起物としても重宝されてきました。古代中国では「不老長寿」や「延命 若返り」の薬的な食べ物と考えられていたそうです。

今年、20年に一度の式年遷宮が行われた伊勢神宮も「鮑」とは深い係わりがありますね。以前、テレビで「のし鮑」を献上する儀式の準備する様子を見たことがあります。ちょっと調べてみたのですが、6月と12月に行われる月次祭(つきなみさい)と10月の神嘗祭(かんなめさい)とありました。

「のし鮑」というのは鮑を薄く長く剥いて伸ばして乾燥させたものです。長期の保存がきく上に栄養価も高く、また「伸ばす」ということからも贈る相手の「長寿延命」を願うとされ、武家の間では出陣の際の贈り物として好まれたそうです。

そうそう、贈り物につける「のし紙」や、お祝いの「のし袋」「のし(熨斗)」って、この「のし鮑(熨斗鮑)」だってことご存知ですか?「のし(熨斗)」って小さな色紙を折りたたんだものの中に黄色っぽいものが包んでありますよね。あれが「のし鮑(熨斗鮑)」なんです。時代と共に簡略化されて模造品や印刷になったのです。

またまたテレビで見たのですが、太古の昔は献上物や贈答品には海産物を添える慣わしがあり、その最高級なものが「鮑」だったという話もあるようです。

今回は「鮑」にちなんでのお話になりましたが、このように食材一つ取っても、器を取っても、日本料理には色々な逸話や歴史があり、私たち料理人はそれにちなんでお料理をお出しすることも多々あります。お料理の中に、見えない物語がひそんでいる訳です。

また、昔からの伝統料理には「能」の登場人物や物語から料理名がついているものも多く、日本の伝統文化すべてと密接な繋がりがあります。

これも日本料理ならではの興味深い点であり、お料理の楽しみ方の一つでしょう。

私もまだまだ勉強しなければならないことが山積みです!kao17.gif

でも、少しずつ楽しみながら頑張ります♪kao-a01.gifte01.gif

 

(今回は随分真面目な文章になりましたkao07.gif

 

柚子味噌。

写真のお料理は「鱈(タラ)の白子の柚子釜焼き」です。

他府県ではどうなのか知らないのですが、京都では鱈の白子のことをその色と形が雲のようなことから「雲子(くもこ)」と呼びます。全国的にそうですか?

このお料理はくり抜いた柚子の中に銀杏、百合根、しめじを裂いたものと共に、新鮮な雲子(白子)をたっぷりと盛り込み、そこに当店自慢の柚子味噌を覆い被せるように流し入れてオーブンで香ばしく焼き上げた一品です。雲子(白子)の濃厚な旨味と共に柚子の香りをふんだんに楽しんでいただこうという趣向です。

味噌の上に乗っているのは「松の実」です。松の実は和菓子などにも良く使われます。「松風(まつかぜ)」などが有名ですね。

話は戻りますが、このお料理は、柚子の釜と味噌が雲子(白子)を閉じ込めて蒸し焼きの状態で調理されるため、その旨味と風味を逃しません。食べやすいようにスプーンも添えていますが、箸を入れると中には雲子(白子)から出た美味汁が溢れ、香ばしく焼けた味噌と共に絶妙に絡み合います。熱々を一口、ホクホクと頬張ると、柚子の香りが口の中にいっきに広がり、ほのかに鼻から抜けていきます。「あぁ~heart02.gif日本に生まれて良かった・・・kao-a06.gif」と思えるお料理の一つだと思います。

この季節ならではの「秋」を満喫できる一品です。

そんなお料理の決め手になっているのはこの「柚子味噌」

京都の白味噌(西京味噌)に、「これでもかっ!!」と言うくらいのたっぷりの卵黄を混ぜ込み、またまた「これでもかっ!!」と言うくらいのたっぷりのお酒を注ぎ込んでじっくりと二枚鍋で練りこんでいきます。(勿論、もとになる味噌選びはとても重要です。過去に色んな西京味噌を用いて試しましたが、味噌の良し悪しで全く変わってしまいます。)

途中何度か調味しながら気長にじっくりと時間をかけて練りこみます。焦ってはダメです。

味噌に艶が出て、濃厚な旨味が熟成されるまで、色んな旨味が一つにまとまって、味に深みが充分出るまで練り続けます。

こうして出来上がったのが「玉味噌」

その玉味噌に柚子の皮の摩り下ろしたものをふんだんに混ぜ込み、「当店自慢の柚子味噌」となるわけです。

西京味噌で最強味噌の出来上がり!!ってわけですkao07.gif

是非、一度ご賞味下さい。

 

・・・・・あいも変わらず「手前味噌」なお話で失礼しました!kao09.giff01.giff01.gif

 

 

 

 

煮凝り。

前回は「焚き合わせ」を紹介させていただきましたので、同じく「焚き合わせ」繋がりで、今回はこのお料理の写真をアップしました。

秋茄子と穴子、車海老の煮凝り(にこごり)です。中身は煮穴子、車海老、焼き茄子、小芋、紅葉を模った冬瓜、オクラです。冬瓜と小口に切ったオクラは、まだ色付かない紅葉の葉に見立てつつも、お料理全体ではこれから深まっていく「秋の実り」をイメージしました。

胡麻の羽二重を鞍掛けにし、イクラ針セロリを天盛りにしています。

この「煮凝り(にこごり)」は冷たいお料理ですから、たいがいは「夏のお料理」です。しかし、今年は夏のような気候が長く続き、ついこの前まで、暦の上では「秋」なのに「行き交う人たちはみな夏服」という状態でしたので、そのような日にはあえてこのようなお料理をお出ししました。

器はガラスの蓋物ですが、葡萄が描かれています。

夏への名残りと、深まっていく秋との端境期。そんなお料理です。

 

 

「煮凝り」について・・・

煮凝りとは本来、魚などの煮汁を冷やして固まらせた食べ物です。ですが、私は上で紹介したようなお料理の場合、魚の煮汁をさらに出汁でのばし程よい味に調味した後にゼラチンで補います。ですから「ゼリー寄せ」と呼ぶほうが適切なのかもしれませんが、「煮凝り」という言葉が指す意味を「魚などの持つゼラチン質によって煮汁などの液体を凝固させた食べ物」と考えれば、スイーツのゼリーだって「煮凝り」と呼んでもおかしくないと思います。

屁理屈のように聞こえるかも知れませんが、時代と共にカタカナで表記するような言葉が増え、そのカタカナの単語を一般的に使うようになる前にどんな日本語で表現していたかと、ふと考えると分からない(出てこない)時が多々あります。言葉が時代と共に変化するのは当然のことなのでそれに関して意を唱えるつもりはないのですが、料理名はやはり「ゼリー」ではなく「煮凝り」っていう本来の日本語にこだわりたいと思っています。kao06.gif

 

「出汁」はお母さん・・・

日本料理は出汁が決めて!なんて言葉をコマーシャルなどで聞いたことがありますが、まさにその通りだと思います。「お吸い物」なんかは勿論ですが、煮炊き物もどれだけ最高の素材を使っても「出汁」が不味いと台無しです。素材が子どもだとすると出汁はお母さんです。子ども(素材)を優しく包み込み、その良いところを最大限に伸ばす。美味しい「出汁」にはそんな力があり、また逆にそんな「出汁」が本当に美味しい「出汁」だと思います。

先ほどの「煮凝り」のお料理も中の具材を出汁が優しく包み込み、それぞれの持ち味を引き出しつつもお互いがぶつかり合うことなく口の中で様々な表情を見せてくれます。色々な子どもたちの個性をお母さんが優しく包み込み、みんな笑顔で口の中で幸せそうな表情を浮かべるのです。

「 自画自賛もたいがいにしろ!! 」とお叱りを受けるかも知れませんが、自分で作っておきながらその美味しさに感動しました。kao13.gifkira01.gif

決め手は「出汁」(お母さん)と作り手の私(お父さん)の絶妙な味付けってところでしょうか?kao07.gifheart02.gif

「 ええかげんにせえっ!!」と叱られる前に、今日はこの辺で失礼いたします・・・

 

 

 

 

 

京かぶら。

焚き合わせ 京蕪の煮物です。

蕪(かぶら)という素材もこの時期の定番ですが、絹のようにきめ細やかなその上品な口ざわりと、ほのかな甘味、それに特有の香りが特徴です。(色白で上品な素材ですから、私は「かぶら美人」と呼んでいますが、)それを損なわないような調理に細心の注意を払います。ただ、その点に気をつけて大切に調理してあげれば様々な形に変化して色々な料理で楽しむことができる大変魅力的なお野菜です。

蕪蒸しがその代表ですが、お漬物も美味しいですね。

(わが家の夕食ではサラダとしても活躍してくれています。)

このように幅広い料理で活躍してくれる食材は料理人にとっては心強い助っ人です。「今度は蕪ちゃんにどのように活躍してもらおうか・・・」と思いながら献立を考えるとわくわくします。

話は変わりますが、信州で有名な野沢菜(のざわな)は、もとをただせば京都の蕪(かぶら)だそうです。たしか江戸時代だったと思うのですが、京都の蕪を信州の方でも栽培したいと苗を取り寄せて試みたところ、気候などの違いから蕪(カブ)の部分は育たず、茎と葉がよく育ち、それが今の野沢菜の元になったそうです。

お野菜ひとつとっても様々なルーツがあり、調べてみると面白いでしょうね。興味のある方は是非調べてみて下さい。

 

さて、写真のお料理は、菊を見立てた蕪の中に蟹(かに)の身を射込み、蕪を炊いた煮汁を吉野餡にして山葵を添えています。

出汁の香りと旨味の中に、蕪の香りと旨味が混ざり合い、お口の中に広がります。

手前は鱧(はも)で松茸(まつたけ)を巻いて炊いたものです。

・・・菊の香りと共にお楽しみ下さい。

お気に入り。

 

今日はお造りと焼き物を紹介させて頂きます。

まずはお造り。

鯛、鮪、烏賊、生雲丹、車海老の五種を可愛らしく吹き寄せ盛りに・・・。

器は仁清の写しです。

 

これは焼き物です。

脂の乗った魳(かます)を柚庵焼きにしたものですが、松茸を包み込んで焼いています。写真で見ると松茸がわかり辛いのが残念です。(写真を撮るのって本当に難しいですねkao19.gif

器は乾山の写しです。

 

さて、今日は献立の流れに関係なくこの二品を紹介させて頂きましたが、何故かと言うと、器がお気に入りの器だからです。

皆様ご存知のように、仁清(野々村 仁清)乾山(尾形 乾山)共に京焼を代表する江戸時代の陶芸作家ですが、そのデザインは全く風化しないというか・・・常に時代の最先端を行ってるというか・・・言葉で上手く言えませんが、やはりスゴイ!の一言です。世代に関係なく、今の若い子達が見ても誰もが「可愛いkao-a02.gifheart02.gif」と言います。可愛いと言う表現が適切かどうかは問題ではありません。誰が見ても魅力的だということでしょう。やはりスゴイ!

また、乾山が本格的に陶芸を学んだのが仁清からであり、乾山の兄が「尾形 光琳」、何という凄い繋がりでしょうか!乾山の器に光琳が絵付けをしたり・・・と、今の言い方だと兄弟のコラボ作も有名ですが、本当に才能に溢れた凄い兄弟ですね!!

今、世界では日本の「かわいい」がブームですが、「尾形 光琳」は「日本的かわいらしさの美学を強く打ち出した作家である」と言われています。日本の歴史ある文化、感性はひょっとしたら日本人のDNAに受け継がれ、今の若者のサブカルチャーにも何らかの影響を与えているのかも知れませんね。(考えすぎでしょうか?・・・kao-a20.gif

さて、仁清写しの器は写真の紅葉絵の器しか持っていませんが、大好きな器なのでこの時期には必ず使います。紅葉の赤がとても鮮やかでその構図も大胆ではありますがとても上品で華やかで大好きです。当店には眺められるような庭もございませんし、墨染の町には季節を感じられるような景色もございませんが、せめてこの器で秋を感じていただけたら・・・と言う思いです。私はこの器を眺めているだけで心が秋の山々にトリップしてしまいます。

乾山は特に好きなので写しを何点か持っていますが、この菊絵の器はその中でも特に好きな器の一つです。大好きなので多少強引にも使ってしまいます。本来は向附けですが、何にでも使ってしまいます。多少合っていなくてもいいんです。偉大な乾山に甘える気持ちです。kao-a06.gif

仁清(野々村 仁清)、乾山(尾形 乾山)共に、本物の作品は残念ながら写真でしか観たことがないのですが、「写しでこれだと本物を見たら・・・」と考えたら興奮してしまいます。なんとか時間を作って美術館に足を運びたいものです。

「芸術の秋」ですからね。

「食欲の秋」は何とぞ当店にお願い致します。kao07.gifkira01.gif

 

・・・と言うことで、今回は当店のお気に入りの秋の器を紹介させていただきました。

ありがとうございます。