月別アーカイブ: 2015年3月

桜餅の葉っぱ。食べる派ですか?食べない派ですか?

まだ寒さが残りますが、随分と春らしい気候になってまいりました♪hana-ani01.gif

さて、今回のお写真は『穴子の桜蒸し』でございます。heart05.gif

『桜蒸し』にも色々なバリエーションがございますが、今回は百合根や銀杏を道明寺で包み込み、脂の乗った穴子と共に桜の葉で包んで蒸し上げました。

『桜蒸し』と言えば、桜の香りと共に春を感じ楽しんで頂く趣向のお料理ですが、もちろんこれは和菓子の『桜餅』に見立てたもの…

で、その『桜餅』で必ずと言っていいほど議論になるのが『葉っぱを食べるか?』『食べないか?』ということです!(笑)te03.gifkao16.gifbikkuri04.gif

これは言うなれば好みの問題で、どちらが正解ということは無いのだと思いますが、多いのは『食べる派』のようですね。

調べてみたのですが、和菓子職人さんの間でもやはり意見は二つに分かれるようです。kao-a20.gif

「桜の葉の香りと塩味があり、それを共に食していただいてこその桜餅であり、葉っぱが無ければ道明寺饅頭だ。」と言う意見。
はたまた、「ただ香りを付けるための意味と乾燥を防ぐためのもので、言うなれば春の演出的なもの。食していただく必要は無い。」と言う意見。
作り手の思いも様々あるようです。bikkuri01.gif

「桜の葉の香りの成分であるクマリンが食品添加物として認められていないので食べない方がいい。」という意見もあります。
確かに、この「クマリン」という成分は肝毒とされていますが、よほど大量に食べない限りは問題ないようなので、一日に数個を毎日食べたところでなんともないようです。
桜餅の他に、アイスやクッキーにも刻んだ桜の葉を混ぜて使用するようですからね♪
ただ、あまり消化も良くないので食べすぎには注意ですが、それは『桜餅』に限ったことではありませんね♪(笑)kao07.gif

さて、ここまでお話したところで、私はいったいどちらの派閥かと申しますと、絶対的な『食べる派』であります!kira01.gif

その理由は『桜の葉の塩漬け』そのものにあるのですが、この『桜の葉の塩漬け』の原料となる桜の葉は『大島桜(オオシマザクラ)』という種類で、桜の葉なら何でも良いと言う訳ではありません。この『大島桜』は葉が薄くて柔らかく、また葉の裏側の産毛が無いのが特徴で、要するに『食用』として適している訳です。te03.gif

その生産地も全国の中で「静岡県の松崎町付近」に限られています。
生産量は松崎町が全国シェアーの70%を占め、あとの30%も南伊豆町、つまりこの地域でしか生産されていません。

松崎付近(東経138度47分、北緯34度45分辺り)で取れる桜葉には香りの成分であるクマリンが多く含まれており、それ以外のものではあの色と香りは出せないと言われているそうです。 bikkuri01.gif

そのようなことも踏まえた上で、私は絶対的に『食べる派!!』なのですが、きっと松崎町や南伊豆町の生産者の皆さんの中でも意見が割れるんでしょうね♪(笑)kao07.gifkira01.gif

 

さぁ♪

『桜餅』を囲みながら…

はたまた当店の『桜蒸し』を囲みながら…

ならではのこの話題で今年も議論に花を咲かせていただきたいと思います♪

ただし、熱くなり過ぎずに「葉っ葉っ葉っ…」と和やかに♪(笑)heart05.gif

春の季語『三宝柑』

先日FBで紹介させていただきました『三宝柑』、春の訪れを感じる果物で、その名前は「春の季語」としても用いられるほどです。hana-ani04.gif

和歌山県の湯浅町栖原地区で主に生産され、果汁が多く爽やかな甘さが特徴的な果物です♪

そもそも、なぜに『三宝柑』という名前が付いたのか?
ずっと気になっていたので調べてみました!enpitu.gif

簡単にご紹介しますと…

江戸時代(文政年間)。
和歌山藩の「野中為之助」という 藩士の邸内にその原木があり、非常に珍しい果物であったことから藩主の「徳川治宝公」に献上したそうです。
その際に「三方(さんぼう)」に乗せて献上したことが名前の由来とされていますが、「徳川治宝公」はこれを『三宝柑』と 名付けて、藩外移出禁止を命じ、一般人の栽培を一切許可しなかったそうです。kao16.gifbikkuri04.gif

さて、そんな『三宝柑』ですが、果皮が柔らかい上に肉厚で中身が取り出しやすいことと、名前の縁起良さ、また何よりも季節を感じさせてくれることから料理屋では『三宝柑釜』として器代りに使用することが多く、和え物や酢の物、時には御寿司なんかを盛り込んでお出しすることが多い果物です。te03.gif

取り出した果肉は、とても美味しいのですが種が多いのが難点。kao05.gif
私どもがお客様にお出しするには、そのままではちょっと 扱いにくいので「ゼリー」にしたり、「シャーベット」にしたりすることが多いです。heart05.gif
今回はお写真がありませんが、果肉を一緒に混ぜ込んで、果汁を使った合わせ酢と共に「酢の物」として使用することも御座います。kira01.gif

下のお写真はお雛様の時に「お寿司」を盛り込んだものです。

また、一番上は「御水物」(デザート)のお写真です。

今回は果汁を使って柔らかなムースにしました。
しかし、かなりあっさりと仕上げていますのでムースと呼んでいいものか…?kao-a20.gif

果肉も共に流し入れ、リキュールで少し香りを加えて「柔らか~いゼリー」と「柔らか~いムース」の間の子のような食感に仕上げています♪heart06.gifosake02.gif

上にはフルーツを飾り、バニラアイスを添えました。

「可愛いね♪」と女性のお客様にも喜んでいただけたら幸いです♪kya-.gif

三宝柑には上から濡らした透かし紙を掛けてみました。

桜の時期になると、京都では『花灯篭』が有名ですが、灯篭の和紙の奥に揺らめくほのかで柔らかな光のような奥ゆかしさを演出したつもりです。sakura.gif

これでお客様に『花灯篭』をイメージしていただくにはかなり無理がありますが…

 

まぁ、種の多い果物だけに、「何でこんなん掛けてあるねんやろぅ?」と話の種になれば…♪(笑)kao07.gifheart02.gif