先日FBで紹介させていただきました『三宝柑』、春の訪れを感じる果物で、その名前は「春の季語」としても用いられるほどです。
和歌山県の湯浅町栖原地区で主に生産され、果汁が多く爽やかな甘さが特徴的な果物です♪
そもそも、なぜに『三宝柑』という名前が付いたのか?
ずっと気になっていたので調べてみました!
簡単にご紹介しますと…
江戸時代(文政年間)。
和歌山藩の「野中為之助」という 藩士の邸内にその原木があり、非常に珍しい果物であったことから藩主の「徳川治宝公」に献上したそうです。
その際に「三方(さんぼう)」に乗せて献上したことが名前の由来とされていますが、「徳川治宝公」はこれを『三宝柑』と 名付けて、藩外移出禁止を命じ、一般人の栽培を一切許可しなかったそうです。
さて、そんな『三宝柑』ですが、果皮が柔らかい上に肉厚で中身が取り出しやすいことと、名前の縁起良さ、また何よりも季節を感じさせてくれることから料理屋では『三宝柑釜』として器代りに使用することが多く、和え物や酢の物、時には御寿司なんかを盛り込んでお出しすることが多い果物です。
取り出した果肉は、とても美味しいのですが種が多いのが難点。
私どもがお客様にお出しするには、そのままではちょっと 扱いにくいので「ゼリー」にしたり、「シャーベット」にしたりすることが多いです。
今回はお写真がありませんが、果肉を一緒に混ぜ込んで、果汁を使った合わせ酢と共に「酢の物」として使用することも御座います。
下のお写真はお雛様の時に「お寿司」を盛り込んだものです。
また、一番上は「御水物」(デザート)のお写真です。
今回は果汁を使って柔らかなムースにしました。
しかし、かなりあっさりと仕上げていますのでムースと呼んでいいものか…?
果肉も共に流し入れ、リキュールで少し香りを加えて「柔らか~いゼリー」と「柔らか~いムース」の間の子のような食感に仕上げています♪
上にはフルーツを飾り、バニラアイスを添えました。
「可愛いね♪」と女性のお客様にも喜んでいただけたら幸いです♪
三宝柑には上から濡らした透かし紙を掛けてみました。
桜の時期になると、京都では『花灯篭』が有名ですが、灯篭の和紙の奥に揺らめくほのかで柔らかな光のような奥ゆかしさを演出したつもりです。
これでお客様に『花灯篭』をイメージしていただくにはかなり無理がありますが…
まぁ、種の多い果物だけに、「何でこんなん掛けてあるねんやろぅ?」と話の種になれば…♪(笑)