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爽やかな夏の喉ごし、蓴菜(じゅんさい)♪

透明な寒天質に包まれた蓴菜(じゅんさい)は冷たくつるっとした喉ごしが爽やかで、暑い夏に涼感を添えてくれる心地よい食材です。

食用として用いるのは日本と中国だけだそうですが、実は世界中に分布しているそうです。
少し意外な事実です。

蓴菜(じゅんさい)はスイレン科の水草で、初夏に花を咲かすそうです。
食用にする部分はまだ開く前の若葉で、 まだ水中に潜っています。小さな浮き舟を竿一本で操り、それをひとつひとつ丁寧に手で収穫するのです。その手間を想像すると、高価なのもうなずけます。
当店が購入してますのは産地によっても異なりますが、だいたい500gで4000円から6000円です。(今回の写真のものは秋田産で4000円位です。)
高価な 蓴菜(じゅんさい)はビックリするくらいの大きな寒天質に包まれていて、よく見かける瓶詰めのものとは比べものになりません。
最上級のものをお客様にお出しした時は、当店で加工して意図的に寒天質で包んであるのかとご質問を受けたこともあります。鮮度の良い上質なものは、それほど大きな寒天質に包まれているのです。 

さて、そんな蓴菜(じゅんさい)ですが、古くは「ぬなわ」と言い、万葉集にも歌われているそうです。平安時代の初期にはすでに食用として用いられていました。

京都では蓴菜(じゅんさい)と言えば「深泥池」が思い浮かびます。
他にも「宝ヶ池」「大沢池」「巨椋池」などが産地でした。
たらい舟で蓴菜(じゅんさい)を採る様が京都の夏の風物詩だった時代もあったようですが、現在では京都周辺の蓴菜(じゅんさい)はほとんど見られなくなってしまいました。

「巨椋池」にいたっては昭和8年から16年にかけての干拓事業によって農地に姿を変え、現存すらしていませんが、その大きさは湖に匹敵するほどであり、現在も残っておれば「日本で最大の池」という大きなものでした。

また、「深泥池」の蓴菜(じゅんさい)は天然記念物に指定されて保護されており、現在では収穫することが出来ません。
驚くことばかりですが、実はこの「深泥池 」は氷河期から存在し、現代の京都の気候では育たないような植物も生育しているそうです。

現在、市場に出回っている国産蓴菜(じゅんさい)の主な産地は、広島、秋田、青森、北海道などです。

今回は、蓴菜(じゅんさい)ついて調べてみましたが、京都の食文化は歴史が古く、食材一つからでも様々なことが見えてきます。
本当に興味深い限りです。

 

・・・ジメジメと蒸し暑い日が続きますが、気持ちは爽やかでありたいものでございます。 
長文にお付き合い頂き、ありがとうございました。