まだ寒さが残りますが、随分と春らしい気候になってまいりました♪
さて、今回のお写真は『穴子の桜蒸し』でございます。
『桜蒸し』にも色々なバリエーションがございますが、今回は百合根や銀杏を道明寺で包み込み、脂の乗った穴子と共に桜の葉で包んで蒸し上げました。
『桜蒸し』と言えば、桜の香りと共に春を感じ楽しんで頂く趣向のお料理ですが、もちろんこれは和菓子の『桜餅』に見立てたもの…
で、その『桜餅』で必ずと言っていいほど議論になるのが『葉っぱを食べるか?』『食べないか?』ということです!(笑)
これは言うなれば好みの問題で、どちらが正解ということは無いのだと思いますが、多いのは『食べる派』のようですね。
調べてみたのですが、和菓子職人さんの間でもやはり意見は二つに分かれるようです。
「桜の葉の香りと塩味があり、それを共に食していただいてこその桜餅であり、葉っぱが無ければ道明寺饅頭だ。」と言う意見。
はたまた、「ただ香りを付けるための意味と乾燥を防ぐためのもので、言うなれば春の演出的なもの。食していただく必要は無い。」と言う意見。
作り手の思いも様々あるようです。
「桜の葉の香りの成分であるクマリンが食品添加物として認められていないので食べない方がいい。」という意見もあります。
確かに、この「クマリン」という成分は肝毒とされていますが、よほど大量に食べない限りは問題ないようなので、一日に数個を毎日食べたところでなんともないようです。
桜餅の他に、アイスやクッキーにも刻んだ桜の葉を混ぜて使用するようですからね♪
ただ、あまり消化も良くないので食べすぎには注意ですが、それは『桜餅』に限ったことではありませんね♪(笑)
さて、ここまでお話したところで、私はいったいどちらの派閥かと申しますと、絶対的な『食べる派』であります!
その理由は『桜の葉の塩漬け』そのものにあるのですが、この『桜の葉の塩漬け』の原料となる桜の葉は『大島桜(オオシマザクラ)』という種類で、桜の葉なら何でも良いと言う訳ではありません。この『大島桜』は葉が薄くて柔らかく、また葉の裏側の産毛が無いのが特徴で、要するに『食用』として適している訳です。
その生産地も全国の中で「静岡県の松崎町付近」に限られています。
生産量は松崎町が全国シェアーの70%を占め、あとの30%も南伊豆町、つまりこの地域でしか生産されていません。
松崎付近(東経138度47分、北緯34度45分辺り)で取れる桜葉には香りの成分であるクマリンが多く含まれており、それ以外のものではあの色と香りは出せないと言われているそうです。
そのようなことも踏まえた上で、私は絶対的に『食べる派!!』なのですが、きっと松崎町や南伊豆町の生産者の皆さんの中でも意見が割れるんでしょうね♪(笑)
さぁ♪
『桜餅』を囲みながら…
はたまた当店の『桜蒸し』を囲みながら…
『春』ならではのこの話題で今年も議論に『花を咲かせて』いただきたいと思います♪
ただし、熱くなり過ぎずに「葉っ葉っ葉っ…」と和やかに♪(笑)