京かぶら。

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焚き合わせ 京蕪の煮物です。

蕪(かぶら)という素材もこの時期の定番ですが、絹のようにきめ細やかなその上品な口ざわりと、ほのかな甘味、それに特有の香りが特徴です。(色白で上品な素材ですから、私は「かぶら美人」と呼んでいますが、)それを損なわないような調理に細心の注意を払います。ただ、その点に気をつけて大切に調理してあげれば様々な形に変化して色々な料理で楽しむことができる大変魅力的なお野菜です。

蕪蒸しがその代表ですが、お漬物も美味しいですね。

(わが家の夕食ではサラダとしても活躍してくれています。)

このように幅広い料理で活躍してくれる食材は料理人にとっては心強い助っ人です。「今度は蕪ちゃんにどのように活躍してもらおうか・・・」と思いながら献立を考えるとわくわくします。

話は変わりますが、信州で有名な野沢菜(のざわな)は、もとをただせば京都の蕪(かぶら)だそうです。たしか江戸時代だったと思うのですが、京都の蕪を信州の方でも栽培したいと苗を取り寄せて試みたところ、気候などの違いから蕪(カブ)の部分は育たず、茎と葉がよく育ち、それが今の野沢菜の元になったそうです。

お野菜ひとつとっても様々なルーツがあり、調べてみると面白いでしょうね。興味のある方は是非調べてみて下さい。

 

さて、写真のお料理は、菊を見立てた蕪の中に蟹(かに)の身を射込み、蕪を炊いた煮汁を吉野餡にして山葵を添えています。

出汁の香りと旨味の中に、蕪の香りと旨味が混ざり合い、お口の中に広がります。

手前は鱧(はも)で松茸(まつたけ)を巻いて炊いたものです。

・・・菊の香りと共にお楽しみ下さい。

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