土瓶蒸し

土瓶蒸しです。

写真がなかなか上手く取れなくて残念です。松茸には色々な食し方がありますが、やはりその代表と言えば土瓶蒸し、私も非常に好きな料理の一つです。

そもそも、なぜ土瓶を使うのか?詳しくは知らないのですが、農夫が山里で採った物を調理して食そうとした際に鍋が無いことに気付き、土瓶を代用したことが始まりだと聞いたことがあります。そう言えば、「すき焼き」の鋤(すき)も農具が由来となっていますね。まあ、いづれも諸説があるようですが、前回ご紹介しました前菜の器も「箕(み)」をかたどってあります。このように秋の器は山里を思い浮かべるようなものが沢山ありますね。

さて、料理の世界には「出会い物」と言う言葉がありますが、土瓶蒸しの鱧(はも)と松茸はまさに「出会い物」、お互いがお互いの旨味を相乗効果で引き出してくれます。鱧の上品な脂と旨味が松茸の香りと共に絶妙なハーモニーを奏でてくれます。

しかし、土瓶蒸しの魅力はそれだけではありません。土瓶蒸しの醍醐味はなんと言ってもその出汁です。鱧も松茸も生の状態で土瓶の中に入れて出汁の中で蒸し煮込みのような調理となるため、すべての旨味が出汁の中に溢れます。とても上品で繊細かつ濃厚なスープです。昆布、鰹節、鱧、松茸、すべての旨味や香りがとけ合います。今、その風味を思い出しつつもこうして文章を書いていると、改めて日本の食文化に敬慕の念を抱きます。

 

いきなり話はそれますが、私ども夫婦の結婚披露宴の際、料理界の先輩から主賓の挨拶で結婚をこの「出会い物」に例えての祝辞を頂戴したことを思い出します。

(さて、そのような夫婦に成れているでしょうか・・・?kao07.gif

 

いつまでも、土瓶蒸しのような温かい家庭でありたいと思います。

 

 

ブログ開設。お料理も少し解説です。

毎度ご贔屓にして頂き、誠にありがとうございます。

七年前に開設いたしましたホームページですが、なかなか更新することもできず、お客様に何の情報も提供できないままになっておりましたが、この度、新たにブログページを開設いたしました。

これからはこのページで当店のお料理や様々な情報を発信していきたいと考えております。

日ごろより「うを友」を可愛がって下さっているお客様はもとより、初めてこのホームページに来て下さったお客様にも興味を持って頂き、またご来店頂ける機会につながれば・・・と、図々しくも考えております。さて、はたしてそのような魅力のあるホームページにしていけるか?という若干の不安はございますが、ご来店頂けるお客様あっての料理店、ご賞味して下さるお客様あっての料理人であります。どうか1人でも多くのお客様に興味を持って頂き、ご来店に繋がるよう、料理は勿論のことながら、このページの作成にも精進致しますので、どうか宜しくお願い申し上げます。

さて、写真のお料理について少しばかりお話させていただきます。

写真のお料理は懐石のコースの中で前菜として出させて頂いているものです。お料理はお客様のご予算やその日の仕入れ(素材)の状況によってその都度吟味して献立を立てますので、あくまでも一例であり、今はこの料理を必ずお出しするというものではありませんが、当店のお料理を雰囲気だけでも伝われば・・・と思います。

 

写真は、前菜 秋の吹き寄せ です。

塗りの箕(み)に栗と柿の葉を敷き、一口大のお料理を盛り込んでいます。

(箕(み)っていうのは、穀物をふるい、殻を取る農具です。皆さん名前はピンとこなくとも、物はご存知でしょう。)

まずは秋の代表、秋刀魚のお寿司です。皮目はあぶって香ばしく仕上げています。赤が鮮やかな酢取り茗荷をあしらい、酢橘の薄切りを添えています。酢橘はちょっと添えているだけですが、それでも充分にほのかな酸味と香りが移り、秋を感じていただけると思います。

子持ち鮎の山椒煮、何時間も何時間も煮て骨を全く感じない柔らかさに仕上げています。甘辛く煮ていますが、くどいような甘辛さでは無く、軽やかな風味を感じて頂ける味だと思っています。しっかりと締まっているようでいて、口の中ではほろりとくずれる。そんなお料理です。

他には栗の甘露煮八幡巻三度豆のサーモン巻帆立の幽庵焼き小鯛の黄味寿司車海老のキャビア射込み雲丹の利休焼き、なんかを盛り込んでいます。余談になりますが雲丹は「海栗」とも表記するようです。海の栗、たしかに見た目は毬栗とよく似ていますね。因みに、この雲丹の利休焼きは魚のすり身と卵を摺り混ぜて調味した物の中に雲丹をたっぷり混ぜ込み、その上にたっぷりの胡麻を振りかけて厚焼き状に焼いたものです。

後、写真ではちょっと分かりづらいと思うのですが器の中央下部にある黒い品は京都の小茄子の煮たものです。茄子の中央に切り込みを入れ、そこに鰊(にしん)を挟んで鰊茄子に仕上げています。振り柚子をして香りと共にさっぱりとした味わいを楽しんで頂けると思います。

最後になりましたが器上部の猪口には甘海老と飛び子の和え物です。

ちょっと涼しくなって来ましたが、秋だと言うのに天候によってはまだまだ暑かったりと、昼と朝晩の寒暖差が激しく、なかなか体調も整いません。皆様、くれぐれもお身体にはお気を付け下さいませ。

この日は暑かったので、お料理があまり暑苦しいものにならないように猪口はガラス器にしました。

以上がお料理のお話です。

 

最初なんで張り切って書いているとすごく長文になってしまいましたkao-a20.gif。最後まで読んで下さった方はお疲れになったのではないでしょうか?申し訳ございません。kao-a10.gif

これに懲りずに、今後とも宜しくお願い申し上げます。