子持ち鮎の飯蒸し。

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『子持ち鮎の飯蒸し』です。kira01.gif

久々のブログになりますが、今回は「子持ち鮎の飯蒸し」を紹介させていただきます。kao06.gif

鮎は太古より日本人と深く係わりのある縁起の良い魚で、日本建国の神話にも関係のある魚です。日本書紀にも記されている故事にならい「魚」偏に「占」と書くようになったそうですが、今でも三重県のある地域では「鮎」をその年の吉凶占いに用いているそうです。

(このような閑話は長くなるのでかなり簡単に書きましたが、興味のある方は調べてみて下さい♪)kao07.gif

さて、そんな鮎は夏の定番料理ですが、今回のお料理は秋の産卵直前のお腹に真子がいっぱい詰まった雌鮎を使ったお料理です。

鮎は背開きにして、中の真子を丁寧に取り出します。
身は包丁で卸して中骨と腹骨を取り除きます。
真子や身に付いている血や汚れを落とす為、また、余分な臭みを抜くために酒を効かせた塩水に浸して綺麗にした後、身で真子を元の形に包み、結わい草で結びます。
次はこれを天火で焼き、その後に山椒の実と共にさっと煮た後、時間を置いて味を含めます。

このお料理では子持ち鮎を薄味で さっと煮て用いたいのですが、煮るだけでは白っぽく仕上がり、見た目にもお客様に生臭い印象を与えてしまいます。
ですが、一度焼いて香ばしさをプラスすることによって川魚特有の臭みも消え、見た目にも美味しく仕上がるという算段です。
しかしながら、このお料理は最終的には飯蒸しとして白蒸し(もち米)と一緒に銀餡で食していただく訳ですから、焼くだけでも良いですし、焼いてから酒蒸しにするという手もございます。
そこをあえて味をつけて煮る訳は、やはり味のハーモニーです。
このお料理が鮎の身だけなら、シンプルに焼くだけのほうが良いでしょう。しかし、子持ち鮎はその大部分を真子が占めています。少し甘味もあって山椒の実の香りも効いている方が最終的に食していただいた際に絶対美味しいと考えました。kira02.gif

(簡単に紹介するつもりが、いつものように随分と長くなってまいりました…汗)kao-a20.gif

さて、そんな「子持ち鮎の飯蒸し」ですが、「蒸し物」と言うよりは「焚合せ」に近い形でお出ししています。
主な付け合せは「冬瓜」と「焼き茄子」。
「子持ち鮎」の持ち味を損なわないように全体にあっさりとした淡白な味のものばかりでまとめましたが、淡白になりすぎないように「冬瓜」は和蘭煮にしてあります。
和蘭煮と言うのは、一度油で揚げた後に煮る技法で味にコクが出ます。
秋茄子を焼き茄子にしてますが、これもあっさりしていますが、熱々に温めると見た目以上に香ばしい香りが口の中に広がります。kya-.gifheart01.gif

薄味に山椒の効いた「子持ち鮎」、口の中でほろほろと崩れるその真子と「白むし」を隠し味程度に少しだけ味醂で甘味加えた銀餡と山葵の香りが包み込み、すこし油っ気のある熱々の「冬瓜」と 焼き茄子の香ばしい香り…
全てバラバラだった物達が、餡に絡まることによって器の中で一つのハーモニーを奏でる。
私は、このような料理が大好きです。up.gif

子持ち鮎は時期のものですから、今年はもうこの料理も 終わりですが、この秋のお気に入り一品なので紹介させていただきました。bikkuri04.gif

同じ料理を定番のように毎年繰り返すのはあまり好きではございませんので、来年はもうこの料理はしないかもしれません。
ひょっとしたら何年もしないかも…

ですが、常に新しい料理を工夫してお客様をお迎えできるようにこれからも精進いたしますので、どうか今後も宜しくお願いいたします。kira01.gifkira01.gif

 

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